新米のおともにぴったりなのが、カタクチイワシやウルメイワシなどの小魚を干物にしためざし。“めざし”の名称自体は室町時代からあり、シラウオやハヤ、フナなどを使って作られたという。めざしとは食塩水に一夜漬けてから、竹またはプラスチック製の串を左眼から下あごへ通して日干ししたもの。関東では水分が多くしっとりとした生干しが主流であるのに対して、関西では完全に乾燥させたものが好まれる。

記憶力や集中力を高めるといわれる魚特有のDHA・EPAだけでなく、カルシウムの働きを助けるビタミンDも豊富で骨粗しょう症などの予防にも働く。

現代ほど日本が裕福でなかった頃にはめざしは国民食とされていたが、当時に比べてイワシなどの漁獲量が減ったこともあり、昔よりもありがたみが増している。めざしをいただく日にはたくあんを添えた塩むすびもこしらえよう。限りなくシンプルな献立にして、魚の旨みをじっくり堪能したい。