春に植えてから半年ほどの月日を経て、秋に里芋の収穫がいよいよ始まる。出荷開始後まもない9月に出回るものは、晩秋のものと比べると、フレッシュで香りもいい。

山で採れる山いもに対して、里で採れるのが里芋。煮物などにすると独特のぬめりが楽しめるのは、主成分がでんぷん質であるため。加熱すると糊化して、消化吸収を促す働きがある。また、いも類においても群を抜いてカリウムが多く、むくみ対策や高血圧予防にもなる。食物繊維や水分が多いので、比較的低カロリーなのも嬉しい。

里いもといえば、皮むきに四苦八苦した経験も多いはず。そんなときは、里芋をよく洗って泥を落として湯で3分間ほど茹で、冷水にとって手で剥くと、皮が剥きやすくなる。指に塩か酢をつけてから剥くと、手のかゆみも軽減される。
里芋は牛肉との相性が抜群。東北、特に山形県の郷土料理のいも煮汁を家庭で作ってみよう。地方によって味わいはさまざまだが醤油・酒のシンプルなものがご飯にも合う。切らずに姿かたちそのままの里芋と牛肉、お好みでごぼうやこんにゃくなどの具を醤油と酒で煮立てればできあがり。実りの秋の喜びを、いも煮汁を囲んで味わおう。ごろりと入った里芋はしみじみとおいしい。