さんまは100%天然かつすべて国産という希少な魚。8月から店頭に並ぶが、9月にもっとも脂がのったものが出回る。漢字では秋刀魚と書かれるとおり、古くは秋しか穫れない魚であった。ときに三馬と表記されるが、これは当て字。築地などでは不調的に“午(うま)”の字を使うこともあるという。

おいしく食べる上では下処理も丹念に。家で塩焼きを作るなら、買って来てただ焼くのではなく、塩を全体に振って冷蔵庫で20分〜1時間放置。浸透圧で塩が入っていて脱水し、余分な水気もくさみも出る。その後よくペーパータオルで拭いて、塩(味つけ)を振って焼き始めよう。ちなみに肉厚なさんまは日が通りにくいうえ、長くて焼きにくいので、斜めに切ってから焼く方が効率的。肛門あたりから切ることで早く火が通る。

さんまの塩焼きの身をほぐせば、ツナのような扱いでパスタの具としても活用できる。小葱と柑橘と合わせたオイルベースのパスタや、ケーパーがアクセントのトマトソースなどと相性抜群だ。また塩焼き以外の気分なら、甘辛い角煮にしても美味。4〜5㎝の長さに筒切りにしたさんまのはらわたを菜箸で除いて拭けば下処理完了。鍋にさんまと、酒・醤油・砂糖・水をすべて150mlで火にかける。落とし蓋をして1時間、骨まで食べたければ水を加えながら2時間煮込めば完成だ。加熱時、お好みでしょうがの薄切りや梅干しなども一緒に入れても味わいのアクセントに。