ひじき刈りは春の風物詩。葉の部分である「芽ひじき」は下処理が簡単で身が柔らかく、茎の部分の「長ひじき」は歯ごたえがあり、海藻らしい味わいが楽しめるといった特徴がある。ひじきはとにかく栄養価が高く、不足しがちなカルシウムのほかにも食物繊維やビタミンAが豊富に含まれる。

乾物を使う場合は戻し時間に細心の注意を払いたい。さっと洗ったあとに、水で15〜20分。芽ひじきであれば5分。指の腹で潰すように押してみて、芯が残ってなければOK。ちょっと弾力があるぐらいのほうが、料理に使った時においしく仕上がる。固めに戻したひじきをごま油と醤油と酒で炒めて小分け冷凍しておけば、使いたい時にチャーハンや煮物、卵焼きなどにサッと加えられて便利である。

常備菜としておすすめしたいのは、牛肉のしぐれ煮。熱したフライパンに胡麻油を引き、細かく切った牛細切れ肉を炒め、色が変わったら食べやすい大きさに切った長ひじきを炒め合わせる。酒、醤油、みりんで濃い目に味付ければ2〜3日は保存がきく。定番の五目煮もよいが、実はアレンジ自在なひじきの新しい食べ方を見つけてみるのも面白い。