ひね生姜の根を春に植え付けすると、やがてその上に新しく根が形成され、みずみずしく清々しい香りの新生姜が夏に完成する。そのまま秋まで土の中で育ったものが、パワフルな香りを持つ生姜となる。晩秋に掘り上げられた生姜は適度な温度と湿度に保たれた場所で出荷まで管理されているため、スーパーなどでは年中手に入るというわけだ。

晩秋に収穫された生姜をふた月ほど貯蔵すると、香りと味わいが凝縮したひね生姜になる。体を温めたりするなどの薬効が高いのは、このひね生姜。そしてつややかでふっくらとした良質なひね生姜がわりと大袋で出回るのが、冬の入口あたり。おいしさのピークを迎えた生姜で生姜シロップを仕込みたいタイミングである。

作り方は至ってシンプル。皮ごと薄切りにしたしょうがと水ときび砂糖を火にかけ、20~30分煮てレモン汁を加えて仕上げる。好みでシナモンなどのスパイスを入れてもよし、きび砂糖を黒糖に替えて濃厚な仕上がりにしてもよし。このシロップを保存しておけば、葛と湯で割って生姜葛湯にしたり、炭酸水で割ってジンジャーエールにしたり、料理のアクセントに使えたりもする。シロップを濾したあとの生姜は冷凍保存し、細かく刻んでケーキやクッキーの生地に加えるとジンジャー風味の焼き菓子が楽しめ、紅茶に加えるとフレーバーティーになる。