冬に旬を迎える魚といえば、鰤(ぶり)。冬の祝いの席には欠かせなく、「東の鮭に対して西の鰤」といわれるほど別格の扱いをされている年取り魚の代表である。鮮度がよければきれいな脂のコクと身のしまりを楽しめ、刺し身はもちろん、昆布だしのブリしゃぶならサッパリといただける。

「鰤はカマが一番おいしい」としばしば豪語されるほど、カマの人気が高い。ブリカマは、鰤を一尾さばいたときの副産物として売られているので、鮮魚売り場で遭遇したらすかさず手に入れたい食材だ。塩焼きにしろブリ大根にしろ、下ごしらえが肝心。脂が多くジューシーではあるが臭みも出やすい部分なので、購入してきたらまず水気を拭き取り、両面全体に塩を強めにふってざるにのせて冷蔵庫で1時間ほど置く。こうすることで臭みとともに余分な水分が出てくるので、それをさっと洗って再度水気を拭き、新たに塩をふって香ばしく焼く。ブリ大根の場合はさっと洗ったぶりカマを一度ゆがいてから大根と煮ていくと上品な味わいのブリカマ大根が完成する。

脂がのっているので漬け魚料理にも向いている。酒粕とみりんと味噌の漬け床で「味噌漬け」、みりんと酒、醤油で漬ける「幽庵焼き」、柚子の香りの「柚香焼」も冬の食卓に華やぎを加えてくれる。