春雨(はるさめ)とは、リョクトウ(緑豆)やジャガイモやサツマイモから採取された デンプンを原料として作られる乾燥食品。春雨という名称は食材の姿かたちになぞられたものだと推測するが、なんとも風情のある名前である。乾物なので年中手には入るが、春の気配がそこここに感じられるようになる初春に食すのも洒落ている。
鍋シーズンは春先まで続く。シンプルな鍋から濃厚なものまで、ジャンルを問わずどんな味でも春雨は懐深く受け止めてくれる。しめの麺というよりは、食材のうまみが出たスープの中に具材と一緒に入れて、透明になったら肉や野菜などの具材とともにつるんといただきたい。
春雨の炒め物もおすすめだ。生姜のみじん切りと一緒にネギやキクラゲ、カニのほぐし身などを炒めて水とナンプラーを加え、そこにぬるま湯で半透明にもどしておいた春雨を入れて、スープを吸わせるように炒める。そんなベトナム風カニ春雨炒めは春雨とカニのおいしいところをあますところなく引き出してくれる逸品だ。たっぷりの粗挽き黒こしょうと香菜をトッピングして楽しんでみてほしい。