無病息災を願っていただく春の七草と違って、秋の七草は鑑賞して楽しむもの。ただしそのうちの一つである“葛”を、葛粉を使用した料理で味わうのも一興。
さらりとしているけどとろみがあり、繊細な舌ざわりに仕上がる葛粉。原料となる葛の根元を粉末状にしたものだ。じゃがいもを原料とする片栗粉と比べると、作るのにも時間と手間がかかるので、お値段もどうしても張るが味わいは格別。

マクロビオティックの陰陽でも、葛は陽性の食品として考えられている。整腸作用があり消化にもいいので、内臓の不調を感じたときは積極的に摂りたいもの。

白くてとろみのある食材は夏の間に疲れた内臓をやさしく労るので、今の時期に摂りたい。肌寒い秋から冬にかけては、お吸い物や、お出汁に葛粉をといて加えた葛うどんも内側からじんわり温まりおすすめ。またかぜの引き始めに良いとされる葛根湯の原料でもあるため、ゆずなどの好みの柑橘を薄切りにして蜂蜜で漬けたものに、葛粉を溶いた湯を注ぎ入れたホットドリンクもこれからの季節にぴったり。