春先に種を蒔いた白ごまの収穫期は9〜10月。食用となるのはサヤの中にびっしりとなった実の部分だ。国産のごまの値が若干張るのは、収穫に手間をかけているから。成熟が進むと、ゆくゆくはさやの内部にある袋状のさく果が弾けて、ごまが飛び散る。それらを無駄にしないよう、農家はこまめに畑を回り、収穫のタイミングを見計らう。根気づよい作業を経て、ようやくごまは売り物として出回るのだ。

白ごまと黒ごまの使い分けが難しい人は、それぞれの風味から判断しよう。たとえば野菜と合せるとき、青菜やレンコンなどやさしい味わいをもつものなら白ごまがおすすめ。一方、黒ごまはホウレン草や春菊などの旨みの強いものに合うことも念頭に。

シンプルな水菜の白ごま和えはいつ食べてもしみじみおいしい。炒り立ての白ごまを、すり鉢ですりながら醤油ときび砂糖でのばして、青菜を和えればできあがり。山椒の粉や実山椒も合わせると、さらに香りが増す。だし汁はお好みだが、白ごまの豊かな風味を楽しむなら、あえて使わないのもひとつの手。