秋田の郷土料理である、いぶりがっこ。もともとは漬物で使う干し大根を冬の間凍結させずに保存する知恵として、大根を囲炉裏の上に吊るして燻し、その後米ぬかと塩で漬け込んだ“燻り漬け”が家々でつくられていた。薪ストーブの普及とともに徐々に家庭で手づくりされることはなくなった、今では工場で安定した生産が可能になり、秋田の名物として全国にすっかり定着している。
「長く火(日)を入れた食材」を食すことは、陽気を補充し、腎臓を温める助けになると言われている。長い間燻して引き締まったいぶりがっこもその一つであり、養生として冬の土用である今まさに食べたい食材である。
いぶりがっこ特有の燻製の香りと塩気が、米や玄米と合うのは言わずもがな。茶碗にちょこんと添えるだけで箸が止まらなくなる。さらに最近は(トルツメ)、白ねりごまや白味噌などを加えたリッチな味わいの白和えに刻んで混ぜれば日本酒に、クリームチーズや白味噌と混ぜ合せれば白ワインに。酒の肴にもぴったりである。