葉や種をハーブやスパイスとして、古くから薬用にも用いられてきた「フェンネル」(茴香)。日本にはあまりなじみがないが、ヨーロッパ西部からアジア南部では親しまれる野菜。特にイタリアでは“フィノッキオ”の名で多用される。

ディルと同じセリ科のフェンネルは、今の時期に育ち始めるハーブ。消化促進や消臭などの効果があるといわれ、魚との相性がいい香りから“魚のハーブ”の別称ももつ。甘い香りをもつ葉は、魚料理やサラダ、スープに最適。また株元が大きくなる「フローランス・フェンネル」は煮込み料理に。また花が咲く夏頃にできる「フェンネルシード」はインドカレーや中華料理のスパイスとして使われる。

葉付きのものを手に入れたら、細かく千切ったフェンネルとグレープフルーツなどの柑橘類、さっと炙ったホタテなどをオリーブオイルでマリネに。またイタリア・シチリア伝統の「鰯のパスタ」も絶品。フェンネルを茹でて水を切り、適当な大きさに切り分ける。アーモンドとレーズン(同量の白ワインに浸したもの)はそれぞれ大さじ1杯ほど用意。熱したフライパンにオリーブオイルをしき、ニンニクとアンチョビを炒めたら、アーモンドとレーズンを加え炒め、塩で味をととのえ、鰯を形崩れしないよう炒めてソースを作る。別のフライパンで、オリーブオイルとアンチョビを中火で熱し、パン粉を小麦粉になるまで揚げてフリットを作っておく。パスタをアルデンテに茹でたらソースに絡めて皿に盛り、最後にパン粉のフリットを散らして。