東北地方で古くから山菜として食されてきた、うるい。正式にはオオバギボウシという名で、山カンピョウやギンボとも呼ばれている。本来の旬は4月中旬〜5月にかけてだが、山形県などから促成栽培のものは、2月頃から出回りはじめる。

日当たりが悪くても育つうるいは、日光を当てず収穫されたものと、収穫前に日光に当てたものとがあり、日光に当てたものは葉先が緑で、遮光された育ったものは葉先が黄色い。多少のえぐみはあるが生でも食べられる山菜で、白や黄色っぽいものはあくが少ない。

湯がくととろみが出るので、卵とじで春の味わいを楽しんでみていただきたい。浅鍋にだし汁を煮立たせ、酒と薄口醤油と塩で吸い物よりも濃い味に仕立てる。そこに、しらすと、うるいの根元部分を刻んだものを広げて、再び煮立ってきたら溶き卵を回しかけたら、刻んだうるいの葉のほうを散らして好みの加減に加熱する。うるい特有のとろっとした食感をさっぱりと卵で楽しむ、早春の味わいだ。