夜行性で昼間は海底の穴にひっそり姿を消す、“あなごもり”の姿が名の由来といわれる「穴子」。さっぱりとした味が良いとされ、脂分の少ない夏が旬とされるが、脂の多い10月から12月を旬として好む人も多い。淡白でありながらほんのり甘みのある身には、目や皮膚の健康維持に欠かせないビタミンAが豊富に含まれている。EPA、DHAが豊富かつ、低カロリーなのも嬉しいポイントだ。

江戸前料理に欠かせない穴子は、古くから江戸っ子を中心に親しまれてきた食材の一つ。関東では煮穴子が人気であることに対して、関西では焼き穴子が主流。いろんな食べ方で楽しめるのも醍醐味だ。

今の時期には、店頭でよく見かける煮穴子をあしらったちらし寿司が、さっぱりとしておいしい。作り方はとても簡単で、細かく刻んだ煮穴子と甘辛く煮た椎茸やかんぴょう、木の芽、錦糸卵、シソなどの具材を酢飯に混ぜ込むだけ。さらにまぐろや貝なども入れて魚介たっぷりに作れば、ハレの日のメインディッシュにぴったり。