産卵期前の貝類が軒並み旬を迎える春、旨み成分(コハク酸)の量が増すあさりのおいしさもグンと際立つ。浜辺で手軽にたくさん獲れたことから「漁る」が語源と言われているが、最近は浅瀬や干潟の埋め立てにより漁獲量が減少傾向にある。とはいえ味や値段は産地による差がなく、安定したおいしさが味わえる。鉄や亜鉛といったミネラルが豊富で女性に嬉しい食材だ。

海水濃度と同じ3%の水につけて2時間以上冷暗所に置き、砂抜きをしたらまずは味噌汁でいただきたい。鍋にあさりと酒少々、ひたひたの水を入れてふたして強火にかけ、あさりの口が2〜3個開いてきたら火を止めてそのまま10分ほどおく。コハク酸がたっぷり出たところで好みの水を足して煮立たせ、味噌を溶き入れる。しじみは赤味噌との相性がいいが、あさりは信州味噌や田舎味噌とよく合う。

定番のボンゴレも外せない。あさりを白ワインとにんにくで蒸し、パスタの煮汁を加え、固めに茹で上がったパスタを加えてフライパンの中で炒め煮するようにしてスープをパスタに吸わせる。最後にみじん切りのイタリアンパセリを散らせばできあがり。あさりの塩分や茹で汁の塩分があるので、塩を加えるとしたらほんの少しだけ。プチトマトを少量加えてもおいしい。