温かな汁物がふと食べたくなる季節、ぜひとも常備しておきたいのがとろろ昆布である。しまった、汁物を作り忘れた! という時でも、汁椀にとろろ昆布と刻みネギ、醤油をポツリと垂らしたところに熱湯を注ぐだけで即席の吸い物になる。しかも昆布といえば、心機能、筋肉の機能を正常に保つミネラルの宝庫。手軽に補給できるのは嬉しい。

そんなとろろ昆布を日本で一番消費しているのが、富山県である。その昔、北前船の寄港地のひとつであった富山県は、北海道産の昆布が入りやすい土地柄だったことから今でもとろろ昆布の生産、消費が盛ん。富山を旅すると、とろろ昆布を使った様々な料理に出会える。たとえば、とろろ昆布おにぎり。梅干し入りのシンプルな玄米塩むすびのまわりにたっぷりのとろろ昆布を纏ったそれは、同県ではお馴染みの味だという。

温かなうどんや煮麺(そうめん)とも相性抜群である。だし汁を煮立てて酒や醤油で調味したところに茹で上げた麺(うどんやそうめん)を入れ、梅干しと刻みねぎと白ゴマ、そしてとろろ昆布をたっぷりと。風邪気味のときにもさっぱりといただけ、体がポカポカと温まる。