熟した林檎をもっともっと香り高くしたような、なんとも言えない甘い香りを放つ花梨(かりん)。思わずそのまま皮をむいて食べたくなるが、生食はできない。古来より喉に良いとされ、のど飴やかりん種など薬効成分を活かした加工に用いられてきた。ならば。本格的な冬に向けて、花梨のはちみつ漬けを仕込んでみてはいかがだろう。

つくりかたは至ってシンプル。花梨の果実をくし切りにして、皮付きのまま薄切りに。それを一番薬効成分があるとされる種と一緒に煮沸した広口瓶に入れ、上からたっぷりのはちみつを注ぐ。たったこれだけである。ここに発酵を抑制する効果もあるリンゴ酢を適量加えると、酸味が広がり、よりフルーティにいただける。1ケ月後くらいに実と種を取り除き、茶こしで裏込してから煮沸瓶に入れ替えておけば冬中保存も効く。飲み方は、適量をお湯割で。

ところ変わってスペインでは、花梨と砂糖を煮詰めたジャムを羊羹のように固めたメンブリージョと呼ばれるお菓子がある。これを薄くスライスして羊のチーズやくるみとワインと一緒に食べるのが定番。そんな味わい方も知っておくと、活用の幅がグンと広がる。