冬の海の馳走食材といえば、蟹。値は張るが、色鮮やかな身の色といい、優しい甘みと香りといい、味噌の濃厚なうまみといい、甲殻類の王様だ。数ある蟹の中でもズワイガニのおいしさは群を抜くものがある。

ズワイガニは産地などによって呼び名が変わり、ブランド化されているものも。主な漁場としては富山、福井、山陰地方などが挙げられ、福井産のものは「越前ガニ」、山陰で獲れたものは「松葉ガニ」と呼ばれている。さらに雄雌によっても呼び名が変わり、富山では雌のことを「香箱ガニ」、福井や山陰では「セイコガニ」と呼ぶ。

雄の漁期は11月6日~3月20日まで、雌の漁期は資源保護のためさらに短く、1月20日までと厳しく定められている。香箱ガニやセイコガニ狙いで寿司屋や和食店に行くのであればこの時期を狙いたい。甲羅の中に内子と外子、カニ味噌とカニの身が職人の丁寧な仕事によってきれいに詰められたものを食す喜びは、なにものにも代えがたい。