冬の手仕事といえば、秋に収穫した大豆と天然塩を使って行う味噌づくり。味噌の歴史は古く、千年以上も前から使われていたとされている。醤油が広く普及したのが江戸時代からということも考えると、味噌がいかに日本人の日常の生活の根底にあるものかということがわかるだろう。

昔はどの家庭も当たり前のように自分の家で使う味噌を手作りしていた。家に棲みついている菌や大豆の質などによって味が変わるためか、「うちの味噌こそ日本一!」と信じて疑わなかったようだ。そこから“自分で自分を褒める。自慢する”という意味で「手前味噌」という言葉が生まれたのはご存知の通り。

味噌は年中仕込めるものではあるが、状態のよい大豆(新豆)が出回り、雑菌も少なく、発酵もゆっくりと進むという条件がそろった冬は味噌作りの適期。今の時期に仕込み、10か月ほどじっくりゆっくり発酵させたほうが深みのある味わいに仕上がる。最近見直されつつある手前味噌作り、はじめてみたい。