食欲の秋を経て、疲れた消化器官を休める土用の時期に食べたい食材のひとつが、きのこだ。なかでも、なめこ。あの独特のぬめりは、つるんと喉越しを豊かにしてくれるだけではない。内臓の内側を覆う粘膜をいたわる役割がある。
半露地物のワイルドななめこも、この時期は地方の直売所などで購入することができる。一度に食べきれないときは、小分けにして冷凍するといい。湯を沸かした鍋に必要な分だけ割り入れ味噌を溶けば、やれ簡単になめこの味噌汁ができる。とろみを活かして酸辣湯やかき玉スープなどに入れても美味しく、さらに生姜を加えれば、ポカポカと身体が芯から温まる。汁物にはなめらかな口当たりの絹ごし豆腐を一緒に。なめこと豆腐が互いを引き立て合い、旨みが倍増する。「なめことろろそば」や「なめこおろしそば」など蕎麦屋では当たり前にその名を目にするほど、そばつゆとの相性も非常によい。折しも新蕎麦の季節、肌寒く感じられるようになる晩秋には一緒に食したくなる組み合わせである。