日本は南北に長い地形なので、鯖(さば)の産卵期は地域により幅があるが、本来は初秋を迎える9月から冬が旬。脂がのった高鮮度な鯖を堪能するなら、今がチャンスだ。“さばを読む”“さばの生き腐れ”という慣用句があるが、これは鯖の足の早さから生まれた。内臓に含まれる消化酵素が活性化して自己消化を急速に起こすため、非常に傷みやすい鯖を穫った漁師は急いで漁獲数を数えなければならないという。
シンプルな塩焼きもおいしいが、生姜をつめるとより箸が進む一品に。2〜3等分に切り分けたさば半身1枚に包丁で斜めに深く切り込みを入れ、おろし生姜を詰めたら魚焼きグリルで10分程度焼く。皿に盛りつけたら唐辛子酢(包丁でごく薄く小口切りにした唐辛子を瓶に入れて酢を適量注いだもの)をかける。
またいろんな料理に重宝する、鯖そぼろを仕込んでおくのもひとつの手。三枚おろしにした鯖の半身を骨をのぞいてからスプーンで身をこそぎ、皮を取っておく。油でみじん切りの生姜を炒め、香りが立ったらそぼろ状の鯖を加えて、最後に醤油・酒・みりんを加えたら完成。酢飯にのせて寿司にするもよし、焼うどんの具にするもよし。ツナのような感覚で使えて便利だ。