家にストックがないとそわそわしてしまう野菜は何か? と問われれば、迷わず「玉ねぎ」と答える人は少なくないに違いない。品種や産地が多様にあるため旬は限定されておらず、生産量トップの北海道産玉ねぎにおいては9月から翌春4月まで出荷が続く。ゆえにあらためて注目されることは少ないが、寒さにより血管が収縮し、体内運搬作業が滞りがちな今の季節には頼もしい食材である。玉ねぎ特有の辛味成分アリシンが新陳代謝を活発にし、血液をサラサラにしてくれるためだ。

玉ねぎを人参やセロリなどの香味野菜と一緒に薄切り、またはみじん切りにしたものを鍋で炒め、蓋をして弱火で7~8分蒸し焼きにすると旨味ペーストの完成。イタリアではソフリットと呼ばれ、様々な煮込み料理のベースになっていたりする。これさえあればブイヨンなどは不要、調味料や隠し味として大活躍する。

小ぶりの玉ねぎを丸ごとオーブンで真っ黒に焼くのもよい。半分に切るとたまねぎのジュースが溢れだし、とろんとした果肉が白く輝く。すかさずオリーブオイルと塩をふっていただくのだ。