食べごたえのある食感と香ばしさが人気のアーモンドは、夏は乾燥し、冬は湿潤な気候を好む植物の実である。生産量はカリフォルニアが大半を占め、イタリアのシチリアやスペインのカタルーニャでも栽培が盛ん。春先には桜のような可憐な花を咲かせるので、アーモンド街道として密かに人気の場所もある。

栽培が盛んな地域では、アーモンドをふんだんに使った料理や菓子の文化が存在する。たとえば、スペイン南部アンダルシア地方発祥の「ボルボロン」。良質なアーモンドパウダーを使った焼き菓子で、スペインではクリスマスの定番。フランス語ではブールドネージュ、英語ではスノーボール。ますます冬らしいネーミングである。バターと粉糖をよく練り混ぜたところにアーモンドパウダーと薄力粉を混ぜ合わせ、ころころと丸めて天パンに並べて焼き粉糖をまぶせば完成。シンプルではあるが、アーモンド自体のおいしさと鮮度が味を左右する。

一方日本で近年注目を集めているのはアーモンドミルク。アーモンドを水に浸けたものをミキサーで粉砕し、濾した液体である。ホットミルクに抵抗のある人は、少し甘みを加えてホットアーモンドミルクとして冬の朝にいただきたい。“若返りビタミン”との呼び名を持つビタミンEが凝縮されており、美容にもよい。