秋の土用の間は、旬の黄色い食べ物を食して胃をいたわる時期。そこでさつまいも、である。痩せた土地でもよく育つうえに、しっかりとした甘みがあり腹持ちもいいため、江戸時代から親しまれてきた。

その活用法は芋ようかんやスイートポテトといったスイーツだけにとどまらない。さつまいもの輪切りと日本酒、砂糖、醤油、塩少々を鍋に入れて落とし蓋をして蜜煮にすれば、お茶うけや弁当のおかずの箸休めになる。皮ごと千切りにして、桜えびや薄切りのねぎと炒めた塩味のきんぴらごぼうもおすすめ。骨付きの鶏肉と一緒にこっくりと甘辛煮にしてもおいしくいただける。

もう一つ忘れてはならないのが甘藷飯(かんしょめし)、さつまいもご飯だ。酒と昆布、塩といっしょに好みの大きさに切った皮付きのさつまいもを炊き、黒ごまをぱらりとふる。黒米をブレンドすればより食欲を増す風味と色合いになり、根菜の煮物や魚の煮付けなど秋のしっかり味のおかずとよく合う。