日本のどこか、世界のどこか、自分の知らない人や風景
フォトグラファー阿部健さんの作品は、絶対的な美しさや壮大さ・非日常に対する憧れと同時に、その場に存在する誰かにとっての日常の時間も一緒に切り取られている気がして、どこか情緒的で穏やかな美しさと親しみも感じさせてくれます。
その事が自分の日常に対する感受性も豊かにしてくれる気すらするのです。

ーー『“CALENDER” Photographs and Words Exhibition』展示会案内テキストより

フォトグラファー阿部健と編集者 若菜晃子の共作で制作されたカレンダーと、その世界観を表現した展示会が開催される。

カレンダーの写真に使用されているのは、スイスにて撮影された作品たち。私たちにとっての非日常と誰かにとっての日常が内在する写真に、編集とライティングを担当した若菜晃子が、季節感がじんわりと薫る小文を添えて小さなカレンダーの世界観が形作られている。

カレンダ―に使用されている写真と小文の展示会場は、自由が丘の〈Seeding〉店舗スペース。庭という日常の中で機能するものづくりを生業としている〈Seeding〉にとって、同じく日常の一部となり日々機能するカレンダーというものは、どこか自分たちのスタンスを体現している部分を感じさせる。

会場では若菜晃子が発行人を務め、阿部健がスイスを訪れるきっかけとなったと語る小冊子『murren』や、若菜晃子の新刊本『旅の断片』などの作品も手に取ることができる。それらの作品も含めて味わうことで、今回のカレンダーが形作られる背景を感じ、日々の生活を傍らで優しく見守ってくれるような世界観をより一層楽しむことができるだろう。

“CALENDER” Photographs and Words Exhibition
会期:2月7日~2月17日(火、水、木曜日定休)13:00~18:00
会場:Seeding 目黒区自由が丘3-7-7 BROCANTE 2F

Photographs
阿部健
1980年神奈川県生まれ。日本写真芸術専門学校2部報道・芸術写真科を卒業。
写真家平野太呂氏の助手を経て、2009年よりフリーランス。

Words
若菜晃子
1968年兵庫県生まれ。編集者。大学卒業後、山と溪谷社入社。『wandel』編集長、『山と溪谷』副編集長を経て独立。
「街と山のあいだ」をテーマにした小冊子『murren』編集・発行人。