6月中旬に仕込んだ「梅干し」が、そろそろ漬け上がる頃。さっそく今日の献立に梅干しを取り入れてみては? 今から遡ること一千年ほど、すでに鎌倉時代には上流階級の人々に梅干しが親しまれていた。兵士の出陣・凱旋時には縁起物として振る舞われたほか、武家社会のおもてなしとして、クラゲやアワビを酢と塩で味つけしたものに、梅干しが添えられていたのだそう。

夏バテ予防・解消に効く食材の代名詞ともいえる。それは酸っぱさのもとでもあるクエン酸が、疲労物質である乳酸を分解して、筋肉や神経の疲労を回復させてくれるためだ。また食欲増進や利尿作用、殺菌・防臭効果があるのもありがたい。

実は中華料理とも相性が良い。味噌や醤油をベースにした甘辛い味つけのアクセントになるので、種をのぞいた梅干しと一緒に炒めた回鍋肉は、ほのかに酸味が漂う夏らしい一品だ。また食べ残しの素麺などがある日はにゅうめんにしても。鰹と昆布の合わせ出汁に素麺を入れたら、梅干しととろろ、刻んだネギをトッピングするだけ。慌ただしい日の昼食や、お酒を飲んだ夜の〆として、さっと作れるのもポイント。