春に花を咲かせて6月から7月の間だけ出回る、旬の短い「杏」。もともとは中国北部の山岳地帯原産で、中央アジアからヨーロッパに広まったものと、日本へと伝わった2系統に大きく分かれる。日本の在来品種の大半は酸味が強く生食には向かないと、かつてはドライ杏や缶詰などに加工されることが多かった。しかし近年、そのままでもおいしくいただける品種も増えてきたので、旬の今だけのフレッシュな味わいを堪能したい。

フルーツの中でも群を抜いて多く含む栄養価が、抗酸化作用で注目されているβカロテン。また胃腸の働きを活性化させ、抗菌作用も期待できるリンゴ酸やクエン酸も豊富だ。さらに糖質の消化吸収を抑制する消化酵素も含んでいる。

冷蔵庫で一週間ほど保つコンポートを作っておくと、いろんなデザートに使えて便利。コンポートは鍋に水と砂糖、お好みで白ワインを入れて強火にかけて、煮立ったら刻んだ杏を5分ほど煮て中火にして、アクをすくいながら15分ほど火にかける。粗熱がとれたら冷蔵庫に入れれば完成。プレーンヨーグルトに入れてもおいしいが、おすすめはミルクプリンだ。牛乳に生クリーム、杏リキュールのアマレットなどをゼラチンで冷やし固めてから、刻んだコンポートをトッピング。まったり、つるんとした喉越しに、杏のやさしい甘さが心地よい季節のデザートに。