「梭子魚(カマス)」とは、カマス科カマス属の魚の総称として呼ばれる名前で、20種ほどの種類がいる暖海性の魚である。一般的に、カマスと呼ばれるのは「アカカマス」で旬は秋から初冬にかけて。一方、夏に獲れるものは「アオカマス(ヤマトカマス)」と呼ばれ、脂肪分が少なくあっさりと食べられるのが特徴だ。“カマスの一升飯”とは、カマスの塩焼きが1尾あれば、ほかにおかずがなくてもご飯が進むという意味から転じた言葉。

おいしいアオカマスを見分けるには、体表と目をチェックするとよい。ぬめりのある体表を持つものは、さっぱりしていると同時に旨みも感じられる。また澄んだ目は鮮度の高い証だ。身もしっかりとしたものを選ぼう。

店頭でよく見かける干物は、カマス特有の旨みを凝縮しているうえに、調理に使いやすくて便利。塩もみしたキュウリと、生姜やみょうがなどの薬味(あるいは角谷漬けを刻んだもの)を混ぜ合わせた酢飯に、焼いたカマスの干物をのせた薬味寿司は今の季節にぴったりだ。