岐阜県の飛騨地方では、道の駅や料亭などでご当地料理に使用されている「朴葉」。今時期が旬で、葉が柔らかい上に香りも格段に良い。朴葉が生える朴の木は、山里の周辺の低い山によく見られる。春に芽吹いたものが初夏になると、大きな葉はだんだんと厚みを増してゆき、緑色が濃くなる。また、数枚の葉の中心には、白みがかった大きな花を咲かせる。
『万葉集』によれば、奈良時代の頃も食材を包むのによく使われた。それは朴葉がもつ殺菌・抗菌作用のおかげで食材が長期保存できるからだ。
朴葉が手に入ったら、岐阜の郷土料理でおなじみの「朴葉寿司」を作ってみては? 朴葉の上に酢飯をのせて、その上に甘辛く炊いたしいたけやキャラブキ、あさりのしぐれ煮、シソの実、錦糸卵、紅生姜などの好みの具を盛り付けて包むだけ。竹の皮や笹の葉にない、独特な香りを楽しめる。シンプルに調理するなら、牛肉などとキノコを味噌で和えて焼いた朴葉焼きがおすすめ。加熱しても風味を損ないにくい、朴葉ならではの特徴を存分に生かした一品だ。