秋は新豆が出回る季節。新大豆で作られるきな粉は驚くほど香ばしく、絶品だ。味噌の寒仕込みも始まるのもまたこの頃。一度自分で仕込んだ「手前味噌」の味といったら、ふくよかで、香り高く、思わず感嘆の吐息をもらしてしまうほど。1年後の再会を想像しながら、柔らかく煮た大豆と塩麹を力いっぱい混ぜ合わせる手間も苦にならない。

味噌に限らず、大豆は日々の食生活を支えてくれる。ゆで方はこう。さっと洗ってたっぷりの水に浸けて一晩しっかりと戻し、そのまま火にかけて煮立ったらアクを丁寧に取り除く。その後は弱火にして40~50分ほど好みの固さにゆでれば完成。ゆでた大豆はゆで汁ごと小分けにして冷凍すると、使い勝手がよい。たとえば、旬の野菜と煮込んだスープ。ミキサーでなめらかにしてポタージュにしてもいい。ゆで野菜やじゃこと和えて生姜おろし醤油をかければ、ちょっと気の利いた副菜になる。キーマカレーにごろっと加えるのもおすすめ。時に主役に、時に脇役に。そうやって、古くから日本人の食生活に寄り添ってきたのが大豆なのである。