さまざまな豆が旬を迎える10月。鮮やかな赤紫を帯びた金時豆は、ふくよかな甘みとほっくりとした食感が醍醐味。粒の形がよく、食味も優れているので煮込み料理にぴったり。日本なら甘い煮豆が一般的だが、洋風メニューにも合う。
新米のおともにぴったりなのが、カタクチイワシやウルメイワシなどの小魚を干物にしためざし。食塩水に一夜漬けてから、竹またはプラスチック製の串を左眼から下あごへ通して日干ししてつくられる。めざしをいただく日にはたくあんを添えた塩むすびもこしらえよう。限りなくシンプルな献立にして、魚の旨みをじっくり堪能したい。
7〜10月にかけて国産のものが多く出回っている。鮮度の高いパプリカを買ったら、フレッシュな味を堪能しよう。パプリカを極薄切りにして氷水にさらした後、ちぎった海苔と混ぜ合わせて、醤油とオリーブオイルで味つけ。簡単ながらシャキシャキとした歯ざわりが楽しい一品が出できあがる。
秋の七草の一つである“葛”を、葛粉を使用した料理で味わうのも一興。肌寒い秋から冬にかけては、葛うどんも内側からじんわり温まりおすすめ。また、ゆずなどの好みの柑橘を薄切りにして蜂蜜で漬けたものに、葛粉を溶いた湯を注ぎ入れたホットドリンクは、かぜの引き始めにも良くてこれからの季節にぴったり。
福井県のスローフードである打ち豆は、大豆をつぶして乾燥させた加工食。大豆の収穫期である10〜11月に食べてみたい味だ。おすすめの食べ方は打ち豆ご飯。またキーマカレーや洋風のスープに、レンズ豆のような感覚で使ってみるのもいい。
豆腐をつくる際にできた豆乳のしぼりかすである「おから」。“卯の花”“雪花菜”“きらず”の呼び名で、古くから日本人に愛されて来た食材は、ほっこりとした味わいで秋に食べたくなる味だ。しっとりした口当たりのおからドーナツはどこか懐かしい味わい。
夏に涼しい海に移動していた鰹は南下を始める9〜10月。脂ののった戻り鰹は、ねっとりとした身と力強い旨みを味わえる。戻り鰹を手に入れたら自家製ツナを作ってみてはいかがだろう。
季節をあじわう一汁三菜「五季膳」。〈SHISEIDO THE TABLES〉が提案する「野菜の一生」を作り手の物語とともにお届けする。