テキスタイルから発想するブランドとして2000年にスタートした〈HaaT〉。日本で開発する上質なテキスタイル、そして長く培われてきた技法を今の衣服に活かしたものづくりを行う。 ブランドを牽引するのは、皆川魔鬼子氏。彼女は、三宅一生によって70年代より始められた『ISSEY MIYAKE』のテキスタイルディレクターとして、クリエイティブを支えてきた人物だ。

〈HaaT〉の2019年の春夏コレクションは、『NILE VALLEY』。豊かな原水から地中海に至る、エジプト文明を支えてきたナイル川がテーマとなっている。その流域に沿ってエリアごとに形成された、西アフリカ部族の文化。ナイルバレーと呼ばれるそうした土地で、厳しい環境ながらも凛として生活を営む人々。そんな情景からインスピレーションを得ている今期のコレクションは、現代自然と共に生きる人々が織りなす力強さが、東京発のデザインでのびのびと表現されている。

©ISSEY MIYAKE INC.
TWIST TRIANGLE/木の枝を鉛筆代わりにして描いた三角柄を、ジャカード織でテキスタイル上に表現。
超強撚の綿糸を用い、ストレッチ性が特徴のシリーズです。

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RAFFIA/ラフィア椰子の繊維でつくられたクス族のテキスタイルをジャカード繊維で表現。※HaaT/AOYAMA 限定

日本とインドの文化的交流とクラフトマンシップが融合

今期の春夏コレクションでは、インドの刺繍技法が用いられた『HaaTH』の新作『Tamasha』が登場。ヒンズー語で「フェスティバル」という意味を持つ『Tamasha』はその名の通り、春の訪れを連想させるカラフルで軽やかなバックライン。伝統的な技法を現代風に落とし込んだアイテムは、洋装はもちろんのこと、着物などの和装に合わせてもしっくりと馴染みつつ良いアクセントになりそう。

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AFRICAN BHILL/アフリカのテキスタイルからインスピレーションを受けたビリ刺繍が全面に施されたシリーズ。バッグの内側から覗く鮮やかな布の色がアクセントに。

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『HaaTH』のコレクションで使用されるボタンや紐は服の余り布を利用した手作りのもの。縫い代を芯に生地を包み込んで作るボタンは『ボリア』、紐は『ドリ』と呼ばれる。これらは芯を入れずに布だけで作られる職人技法で『Tamasha』にもその意匠が活かされている。インドの熟練の職人により手作業で作られたバッグは、一つ一つが丁寧に仕上げられている。

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DIAMOND STITCH/Tamashaの定番シリーズ。ミシンで直線状に細かくステッチを入れ、ジオメトリック柄を施したトートバッグ。※2月1日発売

国境を越えて様々な技法、素材、美意識を取り入れた〈HaaT〉の魅力は、テキスタイルの文化までとり込んだものづくり。ファッションの根底に息づく、その文化や背景を身に纏い、春先のお洒落を楽しみたい。

ISSEY MIYAKE INC.
03-5454-1705
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