端午の節句(5月5日)に柏餅をいただく。江戸時代から続くこの日本特有の慣習は、「柏」が“子孫繁栄の縁起物”だからこそ生まれた文化である。新芽が出るまで、古く枯れた葉が落ちないというのが、次世代へと生命を絶やさずつなぐという縁起をかつぐ由縁だ。

「柏餅」は、餡を包んだ丸い餅を柏の葉で包んだもの。餡はこし餡、つぶ餡、味噌餡などさまざまだが、実は柏の葉を見ると、中の餡の見分けがつく。葉の表を外向きにしているものは味噌餡、裏側を外向きにしているものがこし・つぶ餡、というのが一般的。

上品な風味を醸し出す「柏」は、もちろん料理にも。笹寿司と同様に、家で作った炊き込みご飯などをおにぎりにして、柏で包んで蒸すだけで香り高い一品に。手軽に入手できる柏を使って、風味を楽しむ食文化をぜひ家庭でも。