暦の上では春の始まりである、今日「立春」。地上ではまだ厳しい寒さが続いているが、地中ではすでに地温が上がりはじめ、自然界では着々と春の準備が進められている。そんななかいち早く春の訪れを教えてくれるのが、雪解けの土の中から顔をのぞかせる蕗の薹(ふきのとう)である。

山菜のなかでも随一といわれるふきのとうの苦味やえぐみは、冬の間に溜まった体内の滞りを排出し、春に向けて身体を覚醒させる妙薬。冬眠していた熊が目覚めて一番最初に食べるものも、ふきのとうだと言われている。

そんなふきのとうを一粒から楽しむなら、断然お味噌汁がおすすめ。だしに味噌を溶いたベースの味噌汁を作り、すりごまと刻んだ生のふきのとうを入れてひと煮立ちさせるだけ。5〜10秒でできる手軽な春の味、である。たくさん作って保存しておきたいのが「ふき味噌」と「ふきのとうペースト」。ふき味噌は、茹でずに刻んだふきのとう(100g程度)ををごま油で炒め、酒大さじ1と味噌大さじ2で味付けする。そのままでも日本酒のアテにぴったりだが、塩むすびにちょこんとのせても美味。ふきのとうペーストは、大さじ3のオリーブオイルに潰したニンニク1片と好みでちぎった鷹の爪1本を入れ、ニンニクに色がついたら、半割りしてさっと湯がいて粗く刻んだふきのとう(100g程度)を入れて炒める。しんなりしたら塩で味付けして完成。コク出しにアンチョビを加えても。茹でたパスタと絡めたほろ苦いふきのとうパスタは、身体がぐんぐんと目覚めるのを感じられるはず。