和食に欠かせない「わさび」を心ゆくまで味わいたいなら、実は今の時期がおすすめ。秋冬に収穫されるものと比べると、辛味がマイルドで香りも実にすがすがしい。また沢の「葉わさび」は今が旬である。4月5日は二十四節気のひとつ“清明”で、春先のいきいきとした自然をたとえた「清浄明潔」を略したもの。シーズンの変わり目でもある今日は、フレッシュなわさびをいただき、身体の奥から目覚めたい。

根の下部(根茎)が辛味のある部分だが、葉や茎、花にもまた違った辛味があり、どの部分も余さず食べられる。また生のわさびをおろすなら“鮫皮おろし”が優秀。凛と辛味が立ったなめらかなわさびは、格別の味わいだ。
わさびの生産地で、食卓によくのぼるのが「生わさび丼」。おろしたてのわさびを熱々のごはんにのせて、おかか醤油で食べる一品。シンプルだからこそ、わさび本来の味が際立つ。また酢飯で千切りにした葉わさびを巻いた「涙巻き」なら、しゃきっとした歯ざわりも心地いい。こちらは生産地の鮨屋における定番ネタだ。ステーキを、わさびと醤油でさっぱりといただいても。