コペンハーゲンを代表する観光エリアとして近年ではたくさんの人が訪れるようになったクリスチャニア。自治区、マリファナ、ヒッピーと、キャッチーな響きのせいか連日賑わうそのエリアは1970年代から歴史が動く。

もともと軍の施設だった土地にホームレスやヒッピーが住み着き、政府と幾度も衝突しながら自治区を作り上げたことでいまもその姿を維持しているのだが、個人の自由と多様性を訴える姿は21世紀になっても変わることはなく、多くのコペンハーゲン人がクリスチャニアの正当性を認め、コペンハーゲンの魂だと声を上げる。〈noma〉のレネ・レゼピもその一人で、今年になってこれまであった店舗をクローズし、クリスチャニア内に新生〈noma〉を作り上げた。クリスチャニアを創設した一人が言った「一から社会を創造するのにクリスチャニアは最高な機会であり、開拓精神が揺さぶられた者にとってクリスチャニアこそが目的地である」という言葉に心動かされたそうだ。

〈Alis〉の目の前にはワンダーランドと呼ばれるスケートパークがある。スケーターたちが自らの手で作り上げたこの聖域はクリスチャニア内ではある種のシンボルとして認められており、1998年に誕生して以来一度も侵されることなく現存している。

クリスチャニア内には〈Alis〉と呼ばれるスケートショップもある。ここ数年で盛り上がりを見せるヨーロッパのスケートシーンにおいて、特別な存在感を放つコペンハーゲン。中心となるのはこの〈Alis〉だ。市と協力し、コペンハーゲンオープンと呼ばれる市が公認するスケートイベントを毎年開催している。社会悪とされるスケーターを歓迎する動きである。コペンハーゲン市長は「都市としての文化をヨーロッパで牽引していく目標があり、コペンハーゲンオープンを通じて新たな方法で都市空間を整備し、拡張する良い例である」と語っている。つねに前進を続けるコペンハーゲンの人間にとって、ここクリスチャニアには脈々と受け継がれる自由を愛する魂が根付いているのだろう。

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