僕らが毎年、古道を歩く理由
FOLLOWING THE BEAUTIFUL ANCIENT HIGHWAY

DAY 1
昨年の12月、ルーカスB.B.さんは年末恒例のロングウォークの旅に出かけた。今回の舞台は岐阜から長野に至る木曽路。中山道の一部、木曽地方に設けられたルートを指す。



スタートは岐阜県中津川市の落合宿。江戸時代の石畳が残る十曲峠を抜け、島崎藤村の揮毫による「是より北木曽路」という石碑を眺めたら、いよいよ馬籠宿へ至る。



馬籠宿は島崎藤村の故郷でもあり、『夜明け前』の舞台となった宿場町だ。景観保護区でもあり、急な坂道に沿って趣きのある茶屋や蕎麦屋が立ち並ぶ。その先、馬籠峠をすぎると大妻籠、そしてこの日のゴールである妻籠宿ももうすぐ。



DAY 2
2日目は妻籠宿から須原宿まで。出梁造りや千本格子を備えた江戸時代の面影を残す建物、美しい囲炉裏を設えた脇本陣(予備的に使われた本陣)奥谷などを見学した後、出発。



妻籠宿の先に三留野宿、野尻宿といった宿場町を通過するが、過去の大火事で多くが焼けてしまったため、古い建物はほとんど残っていない。本日の目的地、須原宿は「清水が湧く宿場町」として知られていたそうで、家々の軒先に水舟が置かれているさまが風流だ。



宿泊場所は古民家を活用している〈民宿すはら〉。冷え込んだこともあり、妻籠宿で買い求めた“なぎそねこ”が活躍した。

DAY 3
ずいぶん冷えるなと思っていたら、夜半から降雪。朝起きると白銀の世界に変わっていた。3日目は伊那と岡谷からゲストが参加。本降りとなった雪の中、総勢6人で福島宿(木曽福島)まで向かう。



「小野の滝」や「寝覚の床」という、木曽地域を代表するランドマークも雪に覆われていた。〈寝覚の床〉に近い老舗蕎麦屋〈越前屋〉で、冬季名物のすんきそばを食べ、午後の部へ。



かつての旅人にならって御嶽山遥拝所にお参りしてみたが、現在はここから御嶽山を望むことはできなかった。福島宿に近づくと天気も回復、青空が広がる。大好きなお菓子屋でモンブランを買った。



DAY 4-5
4日目は福島宿から宮ノ越宿、薮原宿を経て、鳥居峠を越えて奈良井宿まで。この日もあいにく、朝からの雪。宮ノ越宿あたりは木曽義仲の生い立ちの里というだけあって、義仲や巴御前ゆかりの名所が多い。



また、この辺りは谷が狭くなっており、木曽川の流れの美しさもポイントだ。

目的地の奈良井宿は雪のためか閑散としていた。雰囲気のいい喫茶店を見つけ、ようやく人心地つく。



翌日は最終日、奈良井宿から中山道の塩尻宿まで。贄川宿の先で木曽路が終わり、「是より南木曽路」の石碑が現れる。以降の道のりでは、江戸時代の佇まいはすっかり失われていた。

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忘れ去られるものに光をあてる

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