季節が変化すると共に 毎月積み重ねる蒸留所の記録
決してアクセスの良い場所ではないにもかかわらず、多くの人が足を運び、はたまた県外からわざわざやって来る。その理由は一体なぜなのだろう。
オープンデーでは、小さな子供の姿をちらほらと見かける。敷地内を元気いっぱいに自由に走り回っていたり、植物を興味深々!といった感じに観察している。
「当初の予定では、開放日だからといって何も用意せず、ただ場所を開放するだけにしようとしていたんです」
ただ、プロダクトを売るだけではつまらないから、と江口さんは続ける。
「開放日の目的は、足を運んでくださった方の満足度を上げることです。ここ(mitosaya)に実際に足を運んで、見てもらうのが一番説得力があると思うので」
「今はたくさんの方に来ていただいていて……オープンデーに出している商品が毎回全て完売してしまうのはありがたいけど、せっかく来てもらったのに申し訳ないです。」
今回、細かな部分もすべて自ら手を加え、丁寧に作られる酒造りのプロセスを垣間見た。お酒も勿論楽しみだけれど、蒸留所を訪れる人たちの目的はそれだけではない。
蒸留所に足を運ぶ人々が期待を寄せるのは、mitosayaのモノづくりの背景にあるストーリーだろう。mitosayaは特に月に1度の公開日を通して見せてくれる。一緒にワクワクさせてくれる。ガイドラインのない、新しい試みだからこそ、人を惹きつける。
『月報 mitosaya薬草園蒸留所』では、mitosayaの日々の様子が率直な言葉で綴られている。今月は、クロアチアからやってきたインターンのルカとアニャについて。
季節が変化するごとに、植物の顔ぶれや、オープンデーの内容も変化する。月に1度の解放日は、mitosayaがじっくりと育っていく様子を記録する定点観測のような役割を果たしているようだ。
着実に積み重ねられていくmitosaya薬草園蒸留所の記録は、これからもゆっくりと更新されていく。