ユニークで高品質なオー・ド・ビー、5種類のフレーバー

蒸留所の隣にある、背の高い温室では、オリジナルのブランデーの販売、お茶などのプロダクトの販売など。この日は、オリジナルブランデーのテイスティングに加え、人気バーテンダーの斉藤圭太さん・野村空人さんによるカクテルも提供も。



このオープンデーに合わせて新しくリリースしたオー・ド・ビー『Winter Citrus Quintet』は、千葉県原市唯一のみかん農家・房総十字園の日南種の温州みかんがメインの原料。ギリギリまで収穫を延ばし糖度を上げたみかんは皮もやわらかく、皮と果実味のある果肉もすべて一緒にマッシュするという。冬の間ゆっくり発酵させたあと、蒸留。また、mitosayaで冬の間に収穫された5種類の柑橘類も使っている。香りと苦味の味わいが混ざりあった、冬の柑橘五重奏。

他にも原材料とプロセスにこだわりと愛を感じるフレーバーたち。『CHOC&MINT』は、バニラアイスにかけて食べるなどスイーツとの相性も良さそうなフレーバー。『LEMON POI』、はつまり「レモンっぽい」。千葉県鴨川の農家から譲り受けた国産レモンのオー・ド・ビーに、レモンの香りを感じられるハーブ3種のスピリッツがブレンドされボタニカルな爽やかさが口の中で広がる。

Eau de vie (オードビー)とは、フランスにおけるブランデーをはじめとする蒸留酒の総称

mitosayaのまわりの生産者たち

斉藤さん、野村さんがカクテルを振る舞うお隣の温室で迎えてくれたのは、現役農大生の山口歩夢さん。彼は研究の合間に蒸留所の手伝いに来てくれているという。



試飲させてもらったmitosayaオリジナルのノンアルコールジンは、まだ試作段階だという。木の芽(山椒の若葉)、金柑、クロモジ、ミント、にがよもぎ、コブミカン、シナモンリーフなどが原材料。

苗目〉の井上隆太郎さんは、mitosayaのプロジェクトに参画していたうちの1人だ。彼の出展ブースは、千葉県鴨川の里山と温室で完全無農薬で生産された新鮮なエディブルフラワーやハーブなどが並ぶ。



君島さんが代表を務める〈AMBESSA & CO〉は、上で紹介した『CHOC & MINT』で使われているカカオニブも提供している。ドライフルーツ、ナッツ、育てた麦を使用したスイーツなどはお土産に持って帰りたくなる可愛らしさ。

mitosayaは、多様な植生物と蒸留設備・技術に加えて、独自の技術を持った各分野のプロフェッショナルとのコラボレーションにより、蒸留の可能性を広げる試みを続けている。彼らのような生産者や協力者がいるからこそ、面白いことができる。江口さんの意思に集まる人たちもまた、mitosayaの一部を担っているのだ。

自然の中で味わう食堂
アイデアはドイツのカフェテリアから



「今回は並ばせないことを目標にしていたんですけどね」

多くの人が訪れた5月のオープンデー。昼食の時間の長蛇の列を振り返り、江口さんは今回初の試みであるビュッフェスタイルのお昼ご飯のアイデアについて話してくれた。

「ドイツに行っていた時に訪れた私設美術館の中にあるカフェテリアが印象に残っていて。とても広いカウンターに、パンやハムやコーヒーがが並んでいるだけで、オペレートする人もいない。ただ置いてあるものを、みんなが勝手に取って、好きに食べている光景があって。大人だ!と驚きましたね。そのつかず離れずの距離感がいいなと思ったんです。」

今回のフードは、そんなドイツでの情景をもとに考案された。シンプルイズベスト。セルフサービスで料理を取っていくビュッフェ形式の食堂ができた。

フードを担当したのは、江口さんの妻・祐布子さん。緑の中に、どん!と大きな円卓があり、広い空間でお昼ご飯を食べる光景は気持ちがいい。



素材そのままと言っても、こだわり抜いた“一見シンプルだが贅沢な一皿”が完成する。しっかりと野菜の味がする新鮮な有機野菜をごろごろと盛って。祐布子さんお手製のハムは嬉しい厚切りにしてパンの上に乗せて。このハムは江口一家が愛してやまないレストラン青から教わり作ったという。そして先ほど紹介した〈苗目〉の美しいエディブルフラワー、〈AMBESSA〉のナッツやフルーツ、mitosayaオリジナルのシロップドリンクなど。訪れた人に喜んでもらいたいというおもてなしの心に、お腹も気持ちも存分に満たされるのであった。

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季節が変化すると共に 毎月積み重ねる蒸留所の記録

mitosaya薬草園蒸留所

千葉県大多喜町大多喜486
http://mitosaya.com/
オープンデーは基本的に毎月第3日曜日に開催。7,8月、1,2月はお休み。
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