カカオ豆の個性を活かし、本来の味わいや香りの表現にこだわったチョコレート専門店
Minimal -Bean to Bar Chocolate-」。世界中のカカオ農園に直接足を運び、品質の良いカカオ豆を選び仕入れ、自社工房でカカオ豆から板チョコレートができるまでの全工程(選別・焙煎・摩砕・調合・成形)を管理し、製造する。それが“Bean to Bar Chocolate”だ。

チョコレートのティスティングやペアリングイベントなど様々な企画を開催している。今回は、カカオ豆からチョコレートをつくる工程を体験できるワークショップに参加し、Minimalのチョコレートづくりのマインドを聞いた。

 

チョコレートがドリンクだった時代、カカオ豆は、金や絹と同じく高級品だった。西洋の貴族たちが嗜むチョコレートの原材料となるカカオを作っていたのは、赤道直下のコートジボワールやインドネシアなどの国々。とにかく大量に生産することが重視されていたため、カカオ農家では、豆のクオリティを上げるという概念が存在せず、カカオ農家はカカオ豆から何が作られているのかさえ知ることがなかったという。Minimalはカカオの産地に赴き、現地の人達と一緒に石臼などを使ってチョコレートを作り、食べてもらうことからスタートする。そこで彼ら農家の人々は初めて自分たちの作っているカカオがどのように加工され、チョコレートになるのかということ、そしてチョコレートがカカオによって味が変わることを知る。

 

カカオはもともと南国の“果実”。豆を発酵させるプロセスはとても繊細で、0.5℃温度変わると全く違うものになる。カカオ農園の現場では、発酵の価値や意味を伝え、実験・検証しながら豆のクオリティを上げていく。そうした地道な経緯を経て、チョコレートの原材料になるカカオ豆ができる。

「手間かけて美味しいカカオを作ろうとするのは農家さんにとってもMinimalにとっても、手間のかかることです。前向きに協力してくれる畑はごく少数。畑のポテンシャルや彼らの向上心によって、初めてパートナーが成立します。手間暇かけて生産したカカオ豆を使ったチョコレートが、遠く離れた日本やヨーロッパで売れているということを伝えることで、カカオ農家さんに誇りを持ってもらう。そんな現地とのやりとりが大切だと思っています。」とMinimal・マネージャーの田淵さんは話してくれた。

 

ワークショップは、チョコレートの歴史などを教わることからスタート。

 

今回のワークショップでは、ハイチ産とベトナム産のカカオ豆を使用。産地によって味・香りが違うことを実体験できる。

噛むと口いっぱいにカカオのフレッシュな風味が広がる。定説を覆して、Minimalが表現したいチョコレート

「チョコレートって滑らかじゃなきゃダメだっていうのが定説なんですけど、僕らからするとそこにこだわる必要はないと思っていて。昔、西洋で王様の為に作られていたチョコレートって、とても滑らかですが、『カカオの味』というよりも、バニラやミルクがたっぷりと入った味わいなんです。それはカカオという素材を楽しむチョコレートではないんですよ。僕らが作りたいのは素材が美味しいチョコレートなので滑らかさよりも素材の風味が大事で、極論ですが『これはチョコじゃない』と言われればチョコレートじゃなくてもいいと思っています。」
チョコレートを作る工程では滑らかにするために50℃くらいの熱を加えながら機械で回し続ける。そうすることで角が取れてまろやかになる反面、キャラクターがなくなって尖ってる部分が無くなってしまう。

「多少尖っていても、そのキャラクターが引き出ると嬉しいので、粗目のザクザクとした食感で仕上げてカカオを丸ごと噛んで味わって欲しいという気持ちで作っています。年によって味が違うのも、農家の果実(カカオ)を使ってるから当然のことなんです。」

芳香で個性豊かな香りが魅力のチョコレートは、世界的なチョコレートアワードの“カカオと砂糖だけを使用した”部門で日本で初めて受賞している。

焼き方もとても重要なポイント。ワークショップではカカオ豆の産地による違いを比べるために焼き方を揃えるが、本来は豆の種類によって焼き方を変えている。また同種でもその年によって豆の味がブレることもあるので、微妙な要素に合わせてチューニングする。

 

チョコレートを嗜好品のように楽しむ

Minimalのチョコレートはカカオの産地よる味わいの違いが特徴的。まるでコーヒーやワインのように原材料によって違う表情の違いが面白い。Minimalが開催しているイベントでは、ただ食べるだけでなくチョコレートを嗜好品のように楽しむことができる。これまで開催されたペアリングイベントは、紅茶や日本茶、お酒のラム、テキーラ、日本酒などとコラボレーションし、チョコレートとの食べ合わせの相性を楽しむ体験を提案してきた。Minimalの開催するイベントは、そういった新しい楽しみ方に触れるきっかけを与えてくれる。

「素材の良し悪しとか、素材をどうやって加工したら美味しくなるかを追求しているお店の方と一緒にイベントをしています。僕らもチョコレートのプロなんですけど、他の人に胸を預けてみると『君たちのチョコレートすごく面白いから、こういうことしないの?』って逆に提案してもらったりして、発見があって面白いですね。」

 

最後に、「これは野望なのですが」と前置きしながら田淵さんが話してくれた。

「日本のチョコレート屋がチョコレートを変えられると面白いですよね。チョコレート文化は元々は西洋文化ですが、“素材を生かしたチョコレート”は日本人の得意な分野だと思います。僕らは日頃から素材を生かしたもの食べていて、素材の良さを引き出した食の価値をとてもわかっている。そういうスタイルのチョコレートを日本がこれから発信していけたらないいなと思います。」

今まで豆の単価・量が決まっていたカカオの農園はクオリティを加えて単価を上げることができる。Minimalは、より香りを強く出す新しい製法を考え、追求しながら美味しいチョコレートをつくる。そしてお客さんは今までと違う新しいチョコレートの楽しみ方を体験することができる。そんな風に少しずつ“チョコレートを新しく”するMinimalの周りでは、チョコレートを通してハッピーな循環が生まれている。

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