速く走るために、コミュティと一緒に成長していく

BLACK ROSES NYC/Knox Robinson

バンドやラッパーのプロデュースにも手腕を振るうなど、カルチャーマガジン『The FADER』のエディターとして一目置かれる存在だったノックス。敏感な嗅覚を持つ彼が今情熱を注いでいるのは、ランでつながるコンパクトで“深い”コミュニティだ。
「元々〈ブリッジランナー〉のランニングコミュニティの一員だったけれど、もっと本気で走りたくて、2012年に〈BLACK ROSESNYC〉をつくった。どうすればもっと速く走れるのか、栄養学やトレーニング法など、トップアスリートの経験を一般の人とシェアすることが目的。いわばスクールのようなものだね」

設立のきっかけは、2011年のNYCマラソン。100位以内に入ったことで注目を集めたのだ。「それならランナーマガジンでも作ろうと、五輪のメダリストと一緒にメキシコに撮影に出かけたんだ。そこで走りを見てもらったら、真剣に走るべきだと勧められて、すぐさま高地トレーニングも経験したよ」
しかし、誰もが走り、一気に高まっていた当時のランニングブーム。彼の目には飽和状態に映った。そこで、走ることをカルチャーとして深く掘り下げることを目的にしたのだ。
「走ることを知ることは、自分のことを知ること。そうすることで、チーム内のお互いの人間を知ることにもなり、チーム全体も変わる」。
〈BLACK ROSES NYC〉のチームは、ファッションやアート、マーケティングを仕事とする人から、バーテンダーなど、最先端を知るニューヨーカーの集まり。「ただ走るだけの既存のクラブと違って、知識を共有したり、ギャラリー巡りをしたり、他のカルチャーでもつながっている有機的なコミュ二ティなんだ」

深化させるランニングは、カウンターカルチャーとしてスポーツする意味までも変える。
「トレーニングで気に入っているのは、瞑想。走る自分を客観的に見ることができて、本当にすごい。パフォーマンスを上げるには、栄養学などとは違う何か10%くらいの力が必要だと感じていた。瞑想は、そんな自分のポテンシャルのロックを開いてくれるんだ」