no.12 | 機内食用カトラリー

1990年代、JALのビジネスクラスの機内食と一緒にこのカトラリーは使われていた。刻印された火星人マークは、柳宗理デザインのカトラリーで有名な佐藤商事製の証。このプロダクトは機内用に作られたもので、現在は生産も終了している。オークションに出ているのを見つけ購入。

普通のディナー用カトラリーに比べて4センチほど小さいデザインになっていて、機内で使うのにちょうど良い大きさに設計されている。そのミニマムさが、日常でも結構使いやすいし、可愛らしく見える。

機内用カトラリーは少しずつ変化している。最近では9.11のテロもきっかけの一つとなり、金属製のカトラリーから、プラスチック製のカトラリーが使われることが多くなってきた。ビジネスクラスではまだ金属製が使われているけど、それもいつか無くなっていくかもしれない。この流れに乗って様々なデザイナーが新しいカトラリーを生み出している。先日乗ったキャセイでは、美しいカトラリーがバチバチにスタッキングされていたし、フランスへ行った際には、フィリップスタルクがデザインしたカトラリーが出てきた。高級感と使いやすさとコンパクトさを考えたデザインは個性があって面白いので、ぜひチェックしてみてほしい。

トレンチコートやセーラー服がそもそも軍用の服だったように、特別な用途の為に作られた物は魅力的な形が多く、形だけが残っている日用品も多い。もしかすると今後、この少し小さい機内用カトラリーが日本の食卓の定番になる日が来るかもしれない。

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た し

た し

日用品デザイナー。生活の合間にちょっとものづくりを。のはずが、いつのまにか、彫金、陶芸、ガラス、染色、木工などできるアトリエのような家に。日々作ったものをtwitterにUP。最近購入した陶芸用の窯で部屋が狹いのが悩み。
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Twitter:@wonder_aaaa