さまざまな豆が旬を迎える10月。鮮やかな赤紫を帯びた金時豆は、ふくよかな甘みとほっくりとした食感が醍醐味。北海道で栽培されるいんげん豆の約7割をこの金時豆が占めており、人気の品種は「大正金時」。北海道十勝地方の幕別村(現・幕別町)で栽培が始まり、大正村(現・帯広市南東部)で量産されたことが名の由来だ。

粒の形がよく、食味も優れているので煮込み料理にぴったり。日本なら甘い煮豆が一般的だが、洋風メニューにも合う。たとえば、金時豆とチョリソをトマトで煮込んだスペイン料理。ニンニクとたまねぎのみじん切りをオリーブオイルで炒め、茹でた金時豆とチョリソのぶつ切り、トマト水煮缶、金時豆の茹で汁か水を加えて火にかけ、煮立ってきたらローリエとパプリカパウダーを加えてさらに煮込む。火を止める少し前にピーマンの角切りを加え、塩で味をととのえれば完成。チョリソをベーコンやソーセージで代用しても、味わいはやや変わるが美味である。

アメリカ・テキサス州独自の“テックスメックス料理”定番のチリコンカンはホットな辛味がくせになる。ニンニク、玉ねぎ、にんじん、セロリのみじん切りをオリーブオイルで炒め、牛ひき肉(または合いびき肉)と茹でた金時豆を順番に炒める。ダイスカットのトマト缶と金時豆の茹で汁(または水)を加え、ローリエとチリパウダー、塩を加えて煮込む。熱々のうちにピザ用チーズを振りかけ、オーブンでチーズが溶けるまで加熱してもおいしい。