北海道から九州にかけて、水深50m程度の比較的浅い岩礁などで穫れるムール貝。牡蠣などの養殖の副産物とされることが多く、8月には広島県や宮城県、愛知県などでさかんに漁が行われる。ちなみに内湾などに群生することも多いが、イガイ科は貝毒を蓄積しやすいといわれるので、水質検査や管理がなされた環境のもの以外は、むやみに口にしないほうがよい。

食べるさいには簡単に掃除するのをお忘れなく。まずは表面の汚れなどをたわしなどでこすってきれいに落としたら、貝からはみ出ている足糸を包丁などで引いて取り除く。次に水と塩大さじ1を配合した塩水をはったボウルにつけて10分ほど放置してから、ザルに上げて水気を切れば完了だ。

国産のおいしいムール貝が手に入ったら、貝の味わいをシンプルに堪能したい。白ワインとニンニクで口が開くまで酒蒸ししたものに、黒胡椒を振りかけると、味わいが引き立って美味。また酒蒸しして残った蒸し汁にトマトピューレとサフランを加えたソースを、デュラム小麦のクスクスにかけて、ムール貝を存分に味わい尽くそう。