肉厚で甘み豊かな果肉をもつ“なすの女王”、賀茂なす。江戸時代には京都府北区の上賀茂で栽培されたことから、京の伝統野菜の一つに認定されている。直径12〜15cm、重さ300g以上もある丸なすで、6月中旬から10月中旬ごろまで多く出回っている。京都では味噌田楽やしぎ焼き(揚げなすに練り味噌をかけたもの)にして食べられるのが一般的だ。

見ためをきれいに仕上げるために、調理の際に心得たいことは主に2つ。あくが強いため、切ったあとはすぐに水に浸すこと。また色止めをするために、油でさっと揚げてから使うこと。このひと手間で鮮やかな紫色をキープできる。

厚めの輪切りにして切り口を入れた賀茂なすを10分間ほどじっくり揚げる。次に味噌をみりん・酒・酢でのばして、なすに当分にかける。これが甘みを控えた大人向けの田楽なすの作り方。また肉味噌を仕込んで麻婆なすにしても美味。ニンニク・生姜・ネギで豚ひき肉を炒め、香りが出て来たら揚げなすと豆板醤を入れてさっと炒めれば、ご飯が進む一品になる。最後にもう一つ。揚げなすを麺つゆ・大根おろし・しょうがでいただく揚げ出しは、酒の肴にぴったりだ。