アルヴァ・アアルト《サヴォイ・ベース》 1936年 Savoy Vase, AlvarAalto, 1936
©VitraDesign Museum, Alexander von Vegesack

20世紀の北欧を代表する建築家・アルヴァ・アアルトの展覧会が神奈川県立近代美術館にて開催される。今回の展覧会はオリジナルの図面や家具、照明器具、ガラス器、建築模型や、ヴィンテージ・プロダクト、資料など約300点の作品が紹介される予定。期間は、9月15日(土)~11月25日(日)とあって少し先だが、日本では約20年ぶりとなる本格的なアアルトの回顧展ということもあり、今から開催が待ち遠しい展覧会である。

アアルト作品の魅力の1つである有機的な形態は、フィンランドの自然や風景から生まれたと言われているが、その従来の見方に加え、“同時代の芸術家たちとの対話も重要であった”という新しい視点を提示した内容となる。


アトリエのアアルト 1945年 Aalto in his studio, 1945
©AlvarAalto Museumphoto: EinoMäkinen

フィンランドのデザインを築いたアアルト

今年で生誕120周年を迎えるアアルトはフィンランドを代表する建築家であり、デザイナーである。数々の名作を世に送り出しているアアルトだが、彼の代表的な作品といえばガラス器『サヴォイ・ベース』(1936)だろう。『アアルト・ベース』とも呼ばれるフィンランドの悠然な湖からインスピレーションを受けてデザインされたフラワーベースは、単体でもオブジェとして成立する魅力あるフィンランドデザインのシンボル的存在のプロダクトだ。


アルヴァ・アアルト《ヴィープリ(ヴィーボルク)市立図書館》 1927-1935年 カレリア(現ロシア)
Viipuri (Vyborg) City Library, Vyborg, Karelia (today Russia), Alvar Aalto, 1927-1935
©Alvar Aalto Museum photo: Gustaf Welin

他にも、彼のパイミオのサナトリウム(1933)やマイレア邸は建築における有機的な形態と素材の優れた相互作用を体現している。また、『アームチェア 41 パイミオ』(1932)や日本でも有名な『スツール 60』(1933)は近代家具の展開に画期的な役割を果たした。

モダニズムに自然の要素を取り入れ、人々の暮らしをより良くする建築や家具のデザインを追求したアルヴァ・アアルトの作品は、今日まで世界中の人々の生活に寄り添い、愛され続けている。デザイン界に偉大な功績を残した彼の一生を観ることができるこの展覧会を機に、葉山まで足を運んでみてはいかがだろうか。


アルヴァ・アアルト《ルイ・カレ邸》リビング・ルーム 1956-1959年 バゾシュ=シュル=ギヨンヌ(フランス)
Living Room, MaisonLouis Carré, Bazoches-sur-Guyonne, France, AlvarAalto, 1956-1959
©AlvarAalto Museumphoto: HeikkiHavas


アルヴァ・アアルト《ニューヨーク万国博覧会フィンランド館》 1939年
Finish pavilion, World’s Fair, New York, 1939
©AlvarAalto Museum, EstoPhotographicsphoto: Ezra Stoller/ EstoPhotographicsInc.

アルヴァ・アアルトーもうひとつの自然
2018年9月15日(土)- 11月25日(日)
9:30-17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜(9月17日、9月24日、10月8日は開館)

神奈川県立近代美術館葉山第2・3展示室
入場料:一般 1,200円/20歳未満・学生 1,050円/65歳以上600円/高校生100円