11月から2月頃、梅よりも早くつぼみを開くビワの花は、真冬で多くの花が閉じている風景に彩りを添える貴重な存在だ。そして、6月頃になると、ビワの実が最盛期を迎える。最近は数が少なくなったが、かつては家庭の庭先などによくビワの木が植えられていた。とりわけ千葉県より南の地域で、そんな風景が多く見られたものだ。

繊細な風味が特徴で、糖度12〜13度ほどの分厚い果肉は、さっぱりとした甘み。市場などで手に入るものもおいしいが、庭先になっているビワは酸味や香りも豊かで、別物ともいえる味わいだ。

ビワには、皮膚などを健やかに保つβクリプトキサンチンや、がん予防にも効果的といわれるクロロゲン酸が含まれる。また、葉にはタンニン、サポニン、クエン酸など、薬効成分が強く、古くから中国の中医学やインドのアーユルベーダで、万病薬としても使われ、かぜを引いたときなどにお茶にして飲まれたりしていたという。消炎作用やデトックス効果などもあるので、乾燥した葉を煎じて、ひと息つきたいときに味わってみては。