夏を代表する魚のひとつ、「鱧(ハモ)」。初夏から夏が産卵期であるハモは、“梅雨の水を飲んでおいしくなる”とも言われ、身が肥えた産卵前の6月〜7月が旬の時期だ。鋭い歯が生えており、噛む・食べるを意味する「食む(はむ)」という言葉が名前の由来という説もあり、とても生命力の強い魚である。

その生命力は、海がなく魚が手に入りにくい京都まで生きたまま運ぶことができたほど。おかげで、京都では重宝され今でも京料理に欠かせない存在となっている。小骨が多いため関東では食す習慣が根付かず、家庭料理ではお目にかかることはないが、関西では「骨切り」といわれる特殊な処理の技術(専用の包丁で一寸(約3センチ)の間に包丁を24~6回入れる)が伝承されたおかげで、夏の魚として定着している。

ポピュラーな食べ方はハモの梅肉のせだ。骨切りしたハモをさっと湯引きし、氷でしめ、梅肉ソースとともに食す。暑い季節にぴったりな涼やかな味わいである。高級ちくわの材料としても使われているハモは、刺し身や、椀だねにしてもたまらなく美味。