Gujarat Vidyapithの学生による瞑想とカディの糸を紡ぐ時間(撮影:岡本憲昭)

つくり手によって紡がれる一本一本の糸、多様な織り目による白の表情。その美しいテクスチャーには、インドの近代史と哲学が織り込まれている。

簡素で美しい生活様式やテキスタイルをはじめ、今日でも手仕事による技法や歴史、文化が色濃く継承されているインド。なかでも「カディ(Khadi)」と呼ばれる綿布は、ものづくりのオートメーション化が著しい近年も、手紡ぎ、手織りによってインド各地でつくられている。 インド国旗に糸車が配された背景には、輸入品を断ち国産の綿布に身を包む不買運動から、独立、そして明日への希望の象徴となったカディがあった。

マルタン・シン インタビュー映像「In Conversation with Martand Singh: Handmade in Rajasthan project for Rajasthan with Prasad Bidapa」より

マルタン・シンの活動を通じて、世界に伝播したインド・テキスタイル。
マルタン・シンは、インド・テキスタイルなどの幅広い文化復興活動で知られている。シンは、インドの独立、雇用、死生、創造という観点からカディを「自由の布」と呼び、この綿布で仕立てられる衣服、カディ・クルタを日常着として纏っていた。クルタは今日でも、セレモニーの正装として、ある時は寝間着として、多岐にわたる場面で着用されている。

イッセイ ミヤケでは、1980年代からマルタン・シンとのコラボレーションを通じて、インド文化との対話ともいえる衣服をつくり続けてきた。その対話は、テキスタイルから発想するブランドHaaTの中で、今日も継続している。同展では、つくり手そのままの表情を見せるカディとその思想を、マルタン・シンの活動の根幹を担ってきた人々を現地で取材した映像とともに紹介している。

カディ、Rta Kapur Chishti のスタジオにて(撮影:岡本憲昭)

Kalam Kushコットンパルプ製紙工場(撮影:岡本憲昭)

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HaaT「 BLOCK PRINT SHEETING BAG」©️ISSEY MIYAKE INC.(Photo by Shin Inaba)会期中、21_21 DESIGN SIGHT SHOPにて販売

同展会期中、21_21 DESIGN SIGHT SHOPでは、インド・テキスタイルをはじめとしたインドの手仕事によるアイテムが展開。また、2018年5月11日(金)には、ISSEY MIYAKEのテキスタイルディレクターとして活躍した皆川魔鬼子氏によるギャラリートークも予定されている。

HaaT「INDIAN CRAFTSMANSHIP−インドのものづくり−」メインビジュアル©️ISSEY MIYAKE INC.(Photo by Yuriko Takagi)

INDIAN CRAFTSMANSHIP −インドのものづくり−
HaaT / AOYAMAでは4月18日より、HaaTとインド最高水準のクラフツマンシップの出会いから生まれたKHADI(カディ)シリーズをはじめ、アーカイブの伝統的な衣服のかたちやプリントを施したアイテムを、マルタン・シンにまつわる展示とともに紹介している。
会場:HaaT / AOYAMA (東京都港区南青山 4-21-29)

「Khadi インドの明日をつむぐ ‒ Homage to Martand Singh ‒」展

会期    2018年4月18日(水)〜 5月13日(日)
休館日   火曜日(5月1日は開館)
開館時間  10:00-19:00
入場料   無料
会場    21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3
      www.2121designsight.jp