寒い冬を経て、春の訪れとともに大地を割って出る「アスパラガス」。旬のものは香りが濃く甘みも豊かなうえに、山菜のような野性味も。じっくり育まれた大地の恵みを存分に楽しみたい。

日本では江戸時代に観賞用として海外から運ばれ、明治期から食べられるようになったという。もともと苗を植えてから3年目以降にしてようやく可食部の新芽が出るため、じっくり鑑賞を……と江戸時代の人々は考えたのかもしれない。

春のものは根元まで皮がやわらかくて緑色も濃い。茶色がかった三角の“ハカマ”は葉っぱのもとになるもの。太いアスパラガスのハカマは固くてアクがあるので取り除こう。ピーラーでむくと簡単。根元の固い部分は切っておく。
今の時期なら「焼きアスパラ」でシンプルに味わってみては。根元を下処理したアスパラガスを長いまま焼き、適度に歯ごたえのあるところで一度取り出す。フライパンが熱いうちにバターを溶かし、アーモンドスライスをロースト。最後にレモン汁をかけていただく。または三色団子のような色みがきれいな「揚げ春巻き」もおいしい。茹でていないアスパラガスとハム、スライスチーズ、を春巻きの皮で巻いて揚げる。弁当の彩りも華やぐ。