金目鯛の旬は1月〜2月の最も脂がのった時期、5〜6月の産卵期前と2度やってくる。流通の発達でニュージーランド、チリ、アメリカなどから冷凍物が輸入されているが、もともとは日本の産地周辺でのみ食べられていた魚。静岡の東伊豆や、千葉の銚子で獲れたものがより高級とされている。

金目鯛は成長とともにより深海へと移動し、最終的には深海800メートルのところに生息すると言われている。皮目が赤いのは深海で目立ちにくい色のため。光がほとんど届かない深海で獲物をしっかり捕えるために目が大きく成長し、目の中の水晶体が金色に輝くことから金目鯛の名前がついたのだそう。輝くようなまぶしい朱色の体色をしていることから、地域によっては祝儀魚に使われている。

金目といえば反射的に思い浮かべてしまうのが、金目の煮付け(姿煮)。白いご飯や日本酒との相性は言わずもがな。日本人のDNAに強く訴えかけてくる味わいだ。冬という季節の果てしなさに鬱々としているこの時期こそ、束の間、金目の煮付けを丁寧にこしらえ、冬の食卓を華やかに味わいたい。金目鯛は寿司ネタとしても人気で、かるく皮目を炙った炙り寿司で供されることが多い。上品な脂がのっているので、炙ることで香ばしさも加わり、塩と柑橘できりっとさせて濃厚な味わいを堪能できる。